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青の炎 −貴志祐介

2005/10/31
約三週間のご無沙汰です。前回、起きたらセカチューのレビューの続きを書くと申告してから寝たのですがついさっき起きたばかりなので吃驚しました。まさか三週間も眠りっぱなしだったとは・・・。

さぁ、あんまり嘘をつくと天国にいけなくなりそうなので冗談はこの辺に留めておいて今日は読書レビュー。嵐の二宮和也主演で映画化もされた『青の炎』です。映画の方は観たことないのですが正直『どぉーせ、ジャニーズ主演だし地雷だろうなぁ。あややも出てるみたいだし原作もつまらないんじゃねぇのぉ(ザッツ偏見)』といった考えから抜け出せんでした。そんな風に映画のイメージに流されて原作を読む機会を逸していたのですが、今回映画を観た友人に勧められたこともあり、手に取りました。

・・・いやぁ食わず嫌いは良くないよね。
完全に私の負けです。一日で読んでしまいました。まぁ私は大抵の本は一日で読むので面白いことの証左にはならないんですけど。


−以下引用−
秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者がいた。警察も法律も及ばず話し合いも成立しない相手に秀一は自らの手で殺害することを決意する。


主人公の秀一は好青年。普通に同じクラスにいたら友達になれただろうなぁと思わせる普通の十七歳。優しい母と明るい妹、気になる女の子に楽しいクラスメイト。そんな平凡だが温かい日常に影を落とす闖入者が現れたことで彼は悩み奔走し、元の日常を取り戻そうとするのですがそれも叶いません。
彼は闖入者の殺害を決意しました。
ただしそれは完全犯罪でなくてはなりません。彼が捕まってしまえば、後に残された母と妹には世間からの厳しい目が向けられることになるからです。彼は家族のために完全犯罪を志向したのです。
私は誰かのためというのは結局は自分のためだと思っているので彼がどんな理由をつけようが『殺したいから殺した』ことには違いないのですが、その彼の様が切なすぎます。作中に彼とは関係のない部分でスタンドアローンという言葉がでてくるのですが、私にはそれが彼を表現する上で一番適切な言葉なのではないかと思います。
完全犯罪を志向するのですから当然といえば当然ですが彼は独りで何でもしようとします。家族を守るための彼の孤独な戦いはどういった結末を向かえるのか。それは自身で読んでみて下さい。お薦めです。

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クビシメロマンチスト −西尾維新

2005/08/20
暑い日に扇風機を回してもハロゲンヒーターと同じ効果しか得られないことをこの夏学んだケムリです。

今日はメフィスト受賞第一作『クビシメロマンチスト』です。

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講談社ノベルス『人間失格・零崎人識』
2002年5月8日 第一版発行

私はこのタイトルを見て、この方向で行くことは固まっていたのだなぁと思い、非常に嬉しかった覚えがあります。一作目の『クビキリサイクル』は決して普通ではなくその普通ではない点が面白かったので、その一点に尖っていくようなこのタイトルには好感を覚えたのです。何にしろ指向する処が明確であるというのは読む方にしてみると安心感がありますね。
登場人物は人間失格、戯言遣い、大学生、蒼色、人類最強。前作では大活躍だった蒼色はほとんどでてきません。前作ではほとんどでてこなかった赤色は大活躍です。
事件は二つ。一つは老若男女関係無しの通り魔殺人。一つは通り魔関係無しの首締め殺人。前者は多くを殺し、後者は少なく殺しました。そして語り部である戯言遣いこと『いーちゃん』はその一方を許し、その一方を晒します。そんな話しです。
あまり多くを語ることは野暮かと思うのでこれぐらいにしておきます。もう既にしゃべり過ぎましたが

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覆面作家シリーズ −北村薫

2005/08/18
世間では宮城沖が震源の大きな地震があったり、静香ちゃんの新党が結成されたり、連続眼鏡窃盗犯人ジャンキーだったことが判明したりと記事になる話題にはこと欠かないのですが今日は読書レビューをしようと思っているケムリです。

さて今日は北村薫さんの覆面作家シリーズの紹介です。覆面作家シリーズは『覆面作家は二人いる』『覆面作家の愛の歌』『覆面作家の夢の家』の三編から成る連作短編です。私、自分のブログでこんなに覆面覆面言うとは思ってもいませんでした。

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角川文庫刊

この覆面作家シリーズは北村さんの作品の中でも抜きんでてユーモラスです。そしてそのユーモアの大部分を構成しているのが、主人公である覆面作家こと新妻千秋のキャラクター。覆面さんは世にも珍しい内弁慶の真逆である外弁慶なのです。作中の言葉を借りるなら、家の中では『借りてきた子猫』で外では『サーベルタイガー』といった二重人格っぷり。しかも本人は天国的な美貌の持ち主で超がつくほどのお金持ち。そして当然のように頭の回転も速く数々の事件を解決へと導く。正に天が二物も三物も与えたのがこの覆面さんなのである。
だがユーモラスだからといって決してミステリーの部分が疎かになっている訳ではない。作者の北村薫さんは一部で本格原理主義などと言われている程なのでミステリー部分にも余念はない。恐らくこんなに物騒なことを言われているのは北村さんかインリン・オブ・ジョイトイぐらいなものだと思います。
この覆面作家という名前、実は北村さんがデビュー時に使っていたペンネームで、デビュー当初は文字通り覆面作家として一切の素性を隠して活動なさっていたとのこと。他にも鯨統一郎さんなどは今でも覆面作家のままですね。
私のお薦めは『覆面作家の夢の家』。

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※本文とは一切関係ありません。


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クビキリサイクル −西尾維新

2005/08/01
目を開けてても眠い。目を閉じても眠い。ブレアウィッチ・プロジェクトで入ってみましたケムリです。でも暑くて眠れません。夏になると睡眠の質が下がりますね。

さてさて今回のレビューは第23回メフィスト賞受賞作のクビキリサイクル。ブレアウィッチ関係ないです

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講談社ノベルス『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』
2002年2月5日 第一版発行

以下、ノベルスのあらすじより引用−
『絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友(♀)とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃん(♂)は、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?(後略)』

あらすじだけ読むと非常にきな臭いですね。でも中身はもっときな臭いです。なにしろこの本、変人しか出てきません。あらすじでは天才と謳っていますが変人との誤植だと思います。話はいーちゃんの一人称で展開していきます。勿論このいーちゃんも変人。この部分は京極堂シリーズの関口君に通ずる処もちらほら。そして天才の描写に関しては森博嗣の真賀田四季に通ずる処もちらほら。殊能将之ほどでないにしても引用癖もあるらしくそういった処はあちこち。清涼院流水、或いはジョジョ的な処もあちこち。リアリティ特になし。ここまで読んで評価悪いなと思った皆さん、それは誤解です。私ものすごく褒めてます
とにかくこの作品はシリーズの他の作品よりも確実にミステリーしているのでミステリー好きの方はこの作品から入るのをお薦めします。ミステリー好きでない人もこの作品がシリーズ第一作なので矢張りこの作品から入ることをお薦めします。あと読了してからタイトルと冒頭部分を改めて見ると嗤えます

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ささら さや −加納朋子

2005/07/31
ふっふっふっ、これであやつもあと一日の命というわけか。

2005年7月

・・・えぇ、なんというか、ケムリです。

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今日は唐突に読書レビューいってみたいと思います。レビュー一回目は気を吐いて遠藤周作でしたが私の主戦場は間違いなく推理小説、もといミステリなのでこれからはミステリレビューが増えると思います。というわけで今日は加納朋子さんの『ささら さや』です。この加納朋子さんは非常に連作短編という形式が得意な作家さんです。私は今まで文庫サイズで五冊ほど読んでいますが未だハズレはありません。そしてこの『ささら さや』は大当たりでした。

以下、幻冬舎文庫のあらすじより引用−
『事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。(中略)ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。(後略)』
映画『ゴースト〜ニューヨークの幻』や有栖川有栖の『幽霊刑事』を喚起させるような、悪く言えばありがちな設定とも言えるでしょう。しかしこれがいいんですっ!(byジョン・カビラ)泣き虫で気の弱い主人公のサヤは悲しみを隠しません。いえ、隠せていないとでもいうべきでしょうか。しかし助けに来る夫本人の語り口は軽妙で抹香臭さは感じられません(勿論サヤのことをとても心配しているのですが)。そんな中、徐々に本当に徐々にですがサヤは気の良い友人たちの助けもあり立ち直っていきます。そして夫の幽霊としての役目は終焉を迎えます。

若くして死んだ人間はさぞや無念でしょう。けれども、生きてる人間の方がつらいこともある。この小説はそんな言葉がよく似合う切ないお話でした。今私良いこと言いました

ミステリ好きにも、そうでない人にも間違いないと薦められる良質な一冊だと思います。ちなみに私のお気に入りの一編は『待っている女』です。

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海と毒薬 −遠藤周作

2005/07/26
口の中に口内炎ができてしゃべりづらいし、食べづらいケムリです。せめてもの救いなのが口の外にできなかったことでしょうか。


さて、予告通りに読書レビューの時間です。最初に相応しく華やかな本をと思っていたのですが自宅に華やかな本など一冊もなかったため買いに行くことにしました。そして厳選に厳選を重ねて決めたのがこの一冊。
海と毒薬
重いです。初回にしてはヘビー過ぎます。華やかな本を探しに出かけて私は何を買っているのでしょうか。フォートナムメイスンの紅茶を買いに出てプロティンを買ってくるぐらい間違っています。女性かと思って声をかけたら振り返った相手がみうらじゅんだったぐらい間違っています。矢張り私には華やかな本など無理だったのです。書店でも華やかな本を探そうとは試みましたが、そもそも華やかな本など読んだこともないので見当がつきません。


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※本文とは無関係です。


さて、話を『海と毒薬』に戻しましょう。あらすじはというと、戦時中に医者たちが生体実験を捕虜に施して殺してしまうというお話です。嬉々としてプロティンとか騒いでいる私がレビューをするのは激しく場違い感が漂います。主に話しは二人の若い医者の目線から語られます。かたや生体実験に加わってしまい罪の自覚に苦悩する医者。かたや罪の呵責を感じることができず無感動な自分に戸惑う医者。あくまで淡々とした語り口のまま人間の暗部にメスがいれられていきます。最後はあっ、ここでおしまいなんだ、というくらい素っ気なく終わってしまいます。『これ上下巻の上なんだよ』と言われたら信じてしまいそうです。その後どうなったかが読みたいのにと思わせる終わり方でした。むやみやたらに人にも勧め難いしきっと一人だけの時にこそこそと何度も繰り返し読むことになるのだろうなぁと思いました。
なんだか真面目に書いてしまって申し訳ないです。もっと気を抜いて書けば良かったです。

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